20世紀前半は、香水の需要が飛躍的に伸びた時代でした。香料の採取や蒸留技術の進歩により、それまで上流階級のための贅沢品であった香水は、一般の富裕層にも手の届く品となったのです。目に見えない香りのイメージを伝える造形的な容器の製造を、いち早く実現し、香水の歴史に革命をもたらしたのが、ルネ・ラリック(1860−1945)でした。
本展では、ラリックが制作した数々の香水瓶に焦点をあて、パフュームランプ、化粧小物、デザイン原画などとともに紹介します。アール・デコの時代、香りはファッションに欠かせぬ要素となり、ラリックの独創的なデザインは時代の流行を作り出していったのです。
あわせてラリックに先立つエミール・ガレ(1846−1904)やドーム兄弟がアール・ヌーヴォー期に制作した香水瓶も紹介します。それぞれの工房の持ち味と高度な職人技が結集された彼らの香水瓶は、繊細な魅力を放っています。
香水瓶という小さな世界に凝縮されたガラス芸術の粋をご堪能ください。