作家紹介

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エミール・ガレ

Emile GALLÉ

19世紀末の工芸改革運動アール・ヌーヴォーの創始者のひとり。本名シャルル=マルタン=エミール・ガレ。1846年5月4日フランス北東部ロレーヌ地方の主都ナンシーに生まれ、高級ガラスと陶器の企画販売業を営む父親の跡取りとして工芸家となり、陶器、ガラス製品に植物や昆虫など自然の意匠を取り入れた新機軸を打ち出す。1885年頃より寄木細工の高級木工家具も手掛け始めた。詩文を刻んだ「もの言うガラス」など芸術性豊かな製品を世に送り、1889年と1900年のパリ万国博覧会でグランプリを受賞するなど輝かしいキャリアを歩んだ。熱烈な園芸愛好家で本業のかたわら植物研究に打ち込み、「ナンシー中央園芸協会」の重職を務めるなど植物学者としての一面をもっていた。1901年「芸術産業地方同盟」別名「ナンシー派」を設立主宰するも志半ばにして、1904年9月23日58歳で病没。その後ガレ社は家族が経営を引き継ぎ、1931年までガレ様式の製品を世に送り続けた。

1846-1904
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ドーム兄弟

DAUM Frères

ガレと同じナンシーにガラス工場(創業1878年)を経営するアール・ヌーヴォーのガラス工芸家兄弟。ふたりの父ジャン・ドームは、ロレーヌ地方北部の街ビッチュ在住の公証人であったが、普仏戦争の敗北の後ナンシーに逃れガラス工場の経営者となった。兄弟はガレの活躍にあこがれ、1891年より高級工芸ガラスの分野に進出。1900年パリ万国博覧会ではガレと同時にガラス部門のグランプリを受賞するなど、競争相手に成長する。デザインから経営までをすべてひとりで采配したガレとは対照的に、ドーム社では兄オーギュストが経営に専念し、弟アントナンが美術監督となり、デザイナーのアンリ・ベルジェをはじめ優れたスタッフの力を束ねた協力体制に特徴がある。第一世界大戦後アール・ヌーヴォーの流行が過ぎ去った後も、1920-30年代のアール・デコ期、1960-70年代の透明クリスタルの時代とドーム社は常にガラス界のリーダーであり続けた。

兄 オーギュスト・ドーム1853-1909
Auguste DAUM

弟 アントナン・ドーム1864-1930
Antonin DAUM

1853-1930
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ルネ・ラリック

René LALIQUE

アール・ヌーヴォーのジュエリー制作者、アール・デコのガラス工芸家。本名ルネ=ジュール・ラリック。1860年4月6日シャンパーニュ地方マルヌ県アイに生まれる。前半生はパリでジュエリー制作者とし活動し、1900年のパリ万国博覧会でグランプリを受賞。宝石の価値ではなくデザイン性に価値を置いた制作より、アール・ヌーヴォー・ジュエリーの創始者として賞賛を浴びた。1910年頃よりガラス工芸に転向。後半生は透明な光の輝きを活かしたシャープでモダンなデザインで、ガラス界に新しい時代様式「アール・デコ」を生み出し成功を収めた。アール・デコの語源にもなった1925年パリの博覧会「現代装飾美術産業美術国際博覧会」では、電気の光による演出を駆使した室内装飾や野外噴水など、それまでにないガラスの活用法を披露し注目を集めた。1945年5月5日没。金型を利用することで芸術性を損ねることなく量産を成し遂げた生産法は、現代のプロダクト・デザインにもつながる先駆的なものであった。その洗練されたスタイルは21世紀の現代にも通じる新鮮さを放っている。

1860-1945
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アマルリック・ワルター

Amalric WALTER

パート・ド・ヴェールの復元にいち早く成功したアンリ・クロスの工房のあった国立セーヴル製陶所内の養成学校を卒業した後、1903年フランス芸術家協会サロンに同技法による作品を発表。アントナン・ドームの目にとまり、1905年からナンシーのドーム社でパート・ド・ヴェールの製造開発に携わった。ドームのデザイン主任アンリ・ベルジェが主に原形を手掛け、1906頃から実際にドーム社から製品として販売された。1909年ナンシーの東部国際博覧会におけるドームの出展コーナーは、ワルター作の装飾パネルで飾られている。第一次世界大戦後はナンシーに個人工房を構え、1937年まで活動を続けた。ワルターの作品は色彩の鮮やかさと厚みのある素地が特徴。H.ベルジェら彫刻家から原形の提供を受けていた。なお複数の文献にみられるアルマリック・ワルターの表記は誤りである。

1870-1959
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ガブリエル・アルジィ=ルソー

Gabriel ARGY- ROUSSEAU

本名ジョゼフ=ガブリエル・ルソー。美術と物理学に関心を抱き、技術学校に学んだ後、国立セーヴル製陶所養成学校で陶芸と窯業化学を修得。卒業後歯科技工士の職を経てパート・ド・ヴェール工房を設立。妻の旧姓アルジリアデスにあやかり、アルジィ=ルソーに改名。1921年から1931年にかけ共同出資者と製造会社を興しパート・ド・ヴェールの量産を実践した。作品は薄手で透明感があり、常夜灯やパフューム・ランプ、電気スタンドなどの電気照明器具類も多く手掛けている。ガラス工芸と並行してカラー写真技術など数々の技術開発で特許を取得している。

1885-1953
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アルベール=ルイ・ダムーズ

Albert-Louis DAMMOUSE

ダムーズは国立セーヴル製陶所で働く彫刻家の息子に生まれ、幼い時から陶芸に親しんだ。パリ装飾美術学校を卒業した後、国立美術学校で彫刻を学び、国立セーヴル製陶所の絵付師マルク=ルイ・ソロンの工房で、1870年より貼付装飾や高火度絵具による下絵付など高度な磁器装飾技法を修得。1892年セーヴル市内に陶芸工房を設立し、1897年よりパート・ド・ヴェールにも挑戦。「パート・デマイユ」とよばれる卵の殻のように薄くデリケートな作品を制作した。ダムーズはアンリ・クロスに続き最も早い時期にパート・ド・ヴェール製法を成功させた作家である。

1848-1926
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フランソワ・デコルシュモン

François DÉCORCHEMONT

本名フランソワ・エミール・デコルシュモン。代々工芸に携わり名工を排出した家系に生まれ、パリ装飾美術学校卒業後、国立美術学校で彫刻を学んだ。1901年から1903年まで陶芸家として炻器の制作を手掛け、1903年にパート・ド・ヴェールの制作を開始。まず珪砂に熔融剤を混ぜ鋳型で焼いたごく薄手の「パート・デマイユ」を手掛け、1912年からは素地をクリスタル製の厚手のものに切り替え、1920年頃までは植物や昆虫を大胆に浮き彫りした作品、1919年から1927年は線刻浮彫りのアール・デコ様式の作品を発表。1928年頃からは幾何学的な面取りを施し装飾を一切廃したシンプルなフォルムの作品、1933年以降はパート・ド・ヴェールを用いた教会装飾用のステンドグラス制作を精力的に展開、パート・ド・ヴェール作家のなかでは珍しく生涯新たな制作に挑戦し続けた作家である。

1880-1971
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ジョルジュ・デプレ

Georges DESPRET

ジョルジュ・デプレは、ベルギーのバンシュに銀行家の息子として生まれ、 叔父が創設した鏡工場を引き継ぎ業績を拡大。その後ガラス製造会社の経営者、金融家として数々の成功を収めた実業家である。板ガラスの革新製法「フルコール法」など数多くの技術革新に貢献した優れた技術開発者でもあった。事業のかたわら芸術を愛し、古代ローマ期のパート・ド・ヴェールの再現を試み独自の成果を得て、美術家との協力で作品づくりを進めた。1897年にフランス国籍を取得。産業界への貢献が評価され、レジョン・ドヌール勲章勲一等を授与されている。現存する作品はあまり多くない。北澤美術館ではアレクサンドル・シャルパンティエのデザインによる大型装飾パネル《ラ・ヴァーグ(波)》を常設展示。

1862-1952

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